テキスト1980
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さるとり茨はふつう山帰来(さんきらい)とよんでいるが昔からのまちがいなのだそうである。中国ではさるとり淡を政契(ばっかつ)という。そして中国で山帰来といえば土祇苓(どぷくりょう)の乙とで日本では野生しないという。中国から日本に伝わった植物名には誤まりをおかしたまま慣用されてしまっているものが相当多いらしい。又同本の困内でも地方によってはまるきり呼び名のちがうものも多い。植物に限らず魚類の呼称もまちまちで地方別の名称を一覧出来る辞典もある位なのである。その上私達には花屋の通称の植物名もまじりあう。植物辞典にも出てない名前なのでどんな利類の植物なのか人に説明できない乙ともある。さるとり茨はユリ科のサルトリイバラ属、白木、中国、インドシナ北部に分布する。六頁のいけばなは、さるとり次に松、グロリオlサ。グロリオーサもユリ科に人る。花誌の淡青色はほんの少し亦みがきした山でとったさるとり決を街中の家の床の聞におちつかせてくれる。野草ととりあわせるなら土の科のする花器もよいだろうが、程よくしまった松とグロリオーサといけあわせるなら京焼らしく沈(花材)さるとりいばら練された部会的な花器が良い。松は小松を一木そのまま、葉のとみあった部分を少しすかしただけで先にいれておくと、あとの二種類が楽にとめられる。花球、松、淡い仰に少し赤みのきしたさるとり茨の三色にグロリオーサの強い赤はそれほどきつく感じない。七頁のさるとり茨には野生利のような、とりかぶとをとりあわせた。とりかぶとも一頃は花をつけすぎた上に葉まで色濃く沈んで肥育したものばかりだったが今年は軽やかな明かるい感じで野性をとりもどしたようである。乙のとりかぶとは二段に切って使っているが、上部は花が満開で色を主に用いるυ下部は白っぽい菅が長い分れ枝の先にむらがっているので水際をととのえるのによい。二本もあればたっぷりとした花がいけられる。六頁のさるとり茨よりも少し色付いたものをえらんでとりあわせた。花器は黒にグリーンの彫枚様がついているο乙の花は共に山の花だがとりかぶとの方が山の深く刈い所にはえる多年草である。野生のヤマトリカブト、ホソパトリカブトの山の斜面にはえた横枝状のものは色・姿から山の花らしい強い野性味を感じさせる。いけあがったζの一瓶はそんな強さを適確にとらえている。グロリオlサさるとりいばら.... 6

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