テキスト1980
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@日本産野生ブドウ尉の代表がヤマブドウである。昔の染物の色名に葡萄染(えびぞめ)山とぜというのがあり、ブドウの実の色υつまり薄紫色なのだがおそらくヤマブドウの実汁で染めたものであろう。ヤマブドウは如何にも童話的な姿をしている。乙の実でブドウ泊を造る小人や冬にそなえて実を運ぶ働き者の虫の勤きを想像したりする。いけるのにえらんだ花器も、のんびりしたパキスタンの民芸品である。ヤマブドウは実の色づく頃葉も美しく紅葉してくるが水場げは悪い。葉は全部落として実の濃紫をいけた。すすきの穏をとりあわせ花瓶の円に紫陽花の残花を盛り水際をうずめている。別にむつかしく考え計算していけた花ではない。小人や虫の事を思いうかべながら楽しくいけた花である。⑤秋の山花はヤマブドウの近くに一えはぜも見つかるにちがいない。夏はぜの方は大分葉も少なくなり夏を頑張って来た感じである。静かに校ぶりを見ながら生花にしてみた。留には貴船菊をあしらって夏はぜにうるおいをそえてやりたい。校物の生花の留に草花をそえる場合校物の方は雄々しく留はやさしく女性的な感じをもたせるようにいけると見る人にしっくりした落粁きを感じさせる乙とが山来る。両方共にしっかりしたいけ方にしたいと思うのは損ないけ方である。勿論草花の習も技巧は乙3りして美しく仕上げなければならないが、あまり強い感じはもたせないでおいてほしい。菊ならせいぜい二輪付の中論より小さめか小菊がよい。大輸のしっかりした菊でがっちりいけ上げた留は興隈めなものである。そうした理由で栴のとりあわせに水仙が万人に好まれるのである。一種いけの場Anは勿論別である。全体を一つの感じにまとめ上げれば良いのでありあとは技巧の問題だけのととである。又投入や盛花は花の使い方が全然追うから写真のような夏はぜには大輪菊を使った方が良いといえる。これ位の分量の貴船菊では花にならない。生花であればとそ乙れだけの貴船菊で釣合がとれるのである。北山花からは昔の良さを感じとりたいし、カラフルな盛花に洗練された洋楽を感じてみたいのが現代の我々であろう。@ (花材)なつはぜきぷねぎく(しゅうめいぎく〉3 夏葡は萄

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