テキスト1980
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られるω色さまざまな珊瑚虫の間を魚が泳いでる所はテレビや映画でもよく見るが実際にもぐって見ている方が何倍か美しいように思える。私達が普通見ているのは珊瑚の骨格なのだがその骨格から珊珊虫の花のような羊歯(しだ)のようにも見える群体をゆらゆらさせて様子は夢のようである。ヌlメアの水族館は生きた珊瑚を集めている事でも有名だがガラス窓の中は珊瑚海の縮図といえる。ピンクの柱のようなの、コバルトブルl、黄、赤どの色の珊瑚も澄みきった鮮明きである。形もトウゴマを太短かくしたようなのや逆の円堆形、孔雀の羽の形と様々でそれが海中で重量感を失ってゆらめいている。一見植物的とも見えるがやはり時と全くちがう。海底の写真をとっニアる。う意味である。メラネシアには熱帯得態の知れなさが陸上に住む私達には感じられる。美しいには違いないがそうたやすくは表現出来ない海中の世界である。海の水の中の感触は地面に立って空気にさ3りされているたりしている人もおそらく海にもぐって見る光景の感触の何分の一しかとり出せない乙とを残念がってるのではないかと思う。博物館での写真の素子の左側に立っている彫刻はメラ、不シアの大太鼓である。ニュlカレドニアはオセア(大洋洲)文化の領域内のうちでもメラネシア文化に属する島であメラ、不シアとは「黒い島々」とい林におおわれた大きな陸島が多く、水平線上に黒々とした島影としてみえるので乙の名がつけられたそうである。そして石器時代から小さな村落が出来、その集落の中に男性の集会所がもうけられ、乙乙を中心に精霊や祖先の魂に関する儀礼が行われ乙れらの超自然的な存在を象徴する仮面や神像が作られた。そうしたものがヌlメアの博物館には系統だてて展示してある。地球の表面の約三分の一の面積を占める太平洋。との大海原には一万におよぶ島が散在している。島から島への移住には数宵粁の遠洋航海をする必要があり勇気ある海洋民族であり独自のすぐれた海洋文化を生み出した。従って彼等の船具や漁労機具には手のとんだ力強い美しさのある彫刻をほどこしたものが多い。そしてその技術は神像や家の飾りにも及んでいる。又貝類やサメの歯も色んな飾りK使われている。おみやげに売っている首飾りは員貨(貝で作った通貨)の一種であるが美しい員ボタンを何百個も重ねて紐を通したようなものである。実際には装身具として用いられ、個人の地位や権威の象徴とされていた。町の骨董屋でも店によっては木物と思える木製の血や根棒。或は素焼のような壷。儀礼用に美しい模様に藤をまきつけた石斧を見るζとが出来る。それにフランス人の店主の中には自分の好みでジャワやスマトラ辺の物まで集めている店もある。日本の物でも相当古い良い伊万里焼も見かけたが、そんな店なら安心して何でも買えるのではないかと思う。少し現地の民俗的なものも買って帰ったが或る宝石屋のショ1ウインドウに流木の美しいものの形をそのまま利用して魚を彫ったのを見た。二度三度その店の前を通るたびに目を吸いょせられるのでとうとう店に入り売ってもらえないか聞いて見たがそこの女主人が作ったものだそうで、とても売る気にはなれないとの返事であった。今回のニュlカレドニア行きで残念な事があったとすればその流木で彫った魚を買いそ乙ねた乙とかも知れない。いつか良い流木が見つかったら自分で彫ってみょうかと思っている。11

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