テキスト1979
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っぷ京部での杜店の名所、上賀茂の大山神社と嵐山に近い梅の宮神社。いずれも平安朝から有名な名跡である。今年は気候も変謁で四月に入ってからも花の凋子が定らず、この二つの社芯の写真を撮影するのに幾度となく通ったものだが、どうにかそれらしいものが揃ったので、私の家の朴むもお添えものにして掲叔することにした。最近、栽培の杜芯の質が悪くなって以前のようにのびのびとした花が見られない。水仙も園芸的に手を加えたものが出廻って花首の長い形のものが殆どだが、木来、かきつばたもすいせんも野生で咲く自然の花で、野川に咲く杜芯など、花葉ともにしまりのある形のよいものと定っていたのに、手を加えて園芸化して栽倍するほど品質が悪くなり、形が悪くなってゆく。水仙も同様で、四季の花材の屯要なものであるだけにひとしお残念に思うのである。(写真・専渓)R深泥池の黄菖蒲上賀茂の東にあたる深泥池、この深泥池からすぐ岩倉になり、山に包まれて円通寺がある。京都の北郊の深泥池は、南効のおぐら池とともに古くより名所となっているのだが、今は流涼として雑卓の生い茂った沼地である。「深泥池のすぐき菜」は占くより有名だが、またこの池は天然植物保護地として、重要な指走地区となっている。その池辺に咲く野生のキショウブ。仝国的に野生のアヤメ科の黄色の水草だが、一般にはコレラショウブ(繁頒力が強いため)といわれ、好まれない花である。水辺に黄色の色がきわだって及しみどろいけきしよ‘,0c桑原冨春軒のかきつばた最近、かきつばたのよい花が少なくなった。例年のことだが、そのころになると質のよいものが手に入りにくく困るのだが、今年は珍しくも「朴店の鉢作り」の花がやってきた。もちろん花屋からだが、花の質もよく葉も変化のあるものが入りまじっている。活けるだけ切りとって、残りの鉢を表1にある水鉢へ鉢ごと入れる。自然の池の様な感じに見え中々風雅である。即腿的にかきつばたの池辺を見る息いがして楽しい。時節が変わると花の観宜法もいろいろ変わるものである。梅の宮、大田の沢の花よりもおとらざらめやわがやのかきつばた、というところか。かきつばた ' R 梅の宮のかきつばた4

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