テキスト1979
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④かきつばたは四月より五月へかけての花だが、栽培の花は四月、五月に入って自然の花季になり、豊かに花を咲かせ、葉ものびやかに垂れ葉などもあって一層風情のある姿が見られる。水郷の村の川辺に野生のカキッパタの咲くのもこの季節である。すでに残花に近いカキツバタを生花に活け、また瓶花にも一瓶、ならべてみる。副三、胴五、留五、控二で花形を作RうRは花三木に葉組み五組みの水盤生花。乱れ咲きの開花を真、胴に入れ、副にはつぼみ。葉組みは真三、ってある。全体が終りの杜若の姿である。葉組みも荒く組み花も高く挿す。なんとなく残花のあわれ、を感じる様な生花である。すばた様式の花瓶にカキツバタを瓶花として活ける。黒色の陶器に緑の策、紫の花が色彩的に美しい。清楚な感じのする瓶花である。一種挿しのいちばん好ましい姿といえるだろう。垂れ業の形が美しい。右方に立つつぼみの用い方に注意したい。前万右へ登らせたつぼみの用い方、これに瓶花の形のよさがある。留の効果的な形のとり方といえる。足もとのみずぎわの美しさ、ここにも注意している。生圧ヒーイ京部t賀茂の大田神社、その境内に咲くかきつばたは有名である。大田の沢のかきつばたとして和歌に詠まれているのは、ひろく人の知るとこみだが、五月十日、折から満閲の杜店を写真にとるために訪れる。文雅の趣味の人逹が集まってまっ盛りの紫の花を観賞している。上質茂というところは、京部の中でも静寂な風雅が、今日でも慇じられるところだが、この杜若の咲く季節はその花の紫と同じように、古典的な俊雅を一隠深く感じるのである。大田の沢のかきつばた2 R

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