テキスト1979
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R温室栽培のあざみ、姫かんぞうの葉の二種をとり合せて瓶花とする。花器は半透明のカットグラス花瓶である。初夏の五月のこのごろ、夏草の清楚な感じの花も季節感があってよい。紅色のあざみの花、濃い緑の葉、細いかんぞうの葉の取合せはすがすがしい夏の瓶花としてガラス器にもよく、また、篭の花としても好ましい配合である。夏季のガラス器には透明のものよりも、この花器のように半透明の花器が足もとが見えず使いやすい。とにかく、清楚といった感じを出す瓶花であるから、材料の選択と色調に注意する。R写真のエキスャという草花。大正から昭和にかけて流行した大衆的な洋花だが、最近、花屋で見るようになった。ヤには黄色、紫紅色など花色がいろいろあるのだが、写真の瓶花は白花に赤い線条のある花、これが最も一般的な種類である。花器も緑色に線条のあるカッ。フ型花瓶を選んで活けたが、副材に添えた濃紫色のテッセンの花との色調も美しく、軽やかな卓上花といった瓶花になった。テッセンには栽培用の添え竹がついているが、これはとりさって活けるのがよい。リバイバルの花材、エキスャというところだろう。エキスカンゾウ(萱草)は中国より渡来したものといわれているが、国内では北海道より九州に至る山野応自生している百合によく以た草花である。「わすれぐさ」ともいわれ六、七月のころ橙黄色の花を咲かせ、葉は柔かく緑色、蘭の葉のように曲線状に垂れている。五月に「ヒメカンゾウ」という同種の小型の草花がある。草原に野生する「ヤブカンゾウ」というのがあるが、これは八月、九月に咲き重弁橙赤色の花を咲かせ、野生の花ではあるが水揚げもよく風雅に趣味のよい花である。「ニッコウキスゲ」は単弁橙黄色の花だが、花色は黄色に近く主として東北地方、北海道に野生する。私の見た限りでは「ニッコウキスゲ」が花も美しく明るい感じがする。滋賀県、京都府、兵庫県など主として関西に野生するかせ、軸も硬く花色にも雅趣が感じられる。花屋ではとり扱わないが、採集して活けるには好ましい花である。ニッコウキスゲは葉が柔かく、ヤプカンゾウは葉が濃緑色で使い。私は盛夏の八月に山や高原をよく歩いたが、よく目につくのがこのヤブカンゾウだった。また東北地方や北海道の草原でみかけたのもこの「ニッコウキスゲ」であった。北海道の牧場の原っばに花を揃えて咲くこの花の群落はエキゾチックな感じをうけるものである。「クロユリ」は乗鞍の山頂で咲いているのを見たことがあるのだが、温室栽培も可能であり、宝塚沿線のある温室で鉢植のものを見たことがある。「カンゾウ」と花だが呼び名が違うだけである。「ヤプカンゾウ」は花軸も高く花を咲「キスゲ」は同様の@ 11

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