テキスト1979
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R紅桃ユスラウメナルコユリ(生花)写真・専渓(京都の桜カキツバタの葉二題)京都東山の光王寺から銀閣寺への山ぞいの路、鹿ケ谷の麓を流れる疏水にそうて約3キロほどの道を「哲学の小道」という。誰がつけたのかひとり歩きの瞑想にふさわしい道というのであろう。正しくは鹿ケ谷法然院町。4月8日、小雨の降る日だったが、雨の日のこの道は人影も少なく、私ひとり写真をとりながら桜の小道を行く。川べりにそうて「ミツマタ」の株が植えられていて、黄掲色の花が咲きはじめている。静かな雨の日だった。二瓶だが、先月号の白桃は株もとも太くあまりよくないし、この紅桃もあまりよい出来とは思われない。ただ、別に「生花百事」のために活けたものは材料の調子もよく、これは満足の出来る作品だった。今年の桃は廻りあわせが悪いのか材料に古い木振りのものが多く、いわゆる「細もの」といわれる桃の「瑞枝」ずわえの材料が手に入りにくかったこと、それに20分程度で活けあげた作品が多かったことなどが原因している。さて、この写真の桃の生花は古雅な調子の木振りで、風雅な感じではあるが、流麗といった花形ではない。訓材につけた「ナルコユリ」は調和がよく形もひきしまって、みずぎわの揃いも美しい。R最近、桃の生花を五瓶ほど写真にとった。テキストに掲載したのは鳥,,哲学の道(京都)⑧ R 8

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