テキスト1979
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Rグラジオラスの濃赤の花、コデマリに添えて瓶花とする。初夏にふさわしいはっきりとした色彩である。技巧的には簡単な花だが新鮮な感じの瓶花といえる。淡いグレーの壷にもよく調和していると思う。これから夏へかけての瓶花は確麗な色彩よりも淡泊な色調が好ましく、また技巧的にこまごまとした手のこんだ作品よりも単純な感じのものが、季節的に好ましい。掲色焼しめの大きい壷。これは「立杭焼」の陶器である。紫赤のフリージャを5本、これにカキツバタの葉を添えて瓶花とする。強い感じの花器だが、明るくやさしい感じのこの花が意外に調和している。カキツバタは花と葉を一緒に活けるのが常識のようになっているのだが、葉だけを使うのも面白く、清新な花が出来る。R淡い黄色の百合、鬼百合によく似た交配種でこれは新稲の花である。濃い緑の業と淡黄の花、それに白赤を交えた椿の大輪花を添えたが、この篭の盛花は色彩的に美しい取合せである。また、日本趣味の温和な配合は、この荒目の野菜篭によく調和している。民芸調のこの篭には自然趣味の花材がよく調和するし、夏から秋へかけての野草の花がことに調和がよい。背を低く横にたっぷりと花形を作ったが篭の内部の見えるように活けてある。晩春の情趣のある花といえる。c c7

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