テキスト1979
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写真の作品は、楓に白椿二種。三月のすえ楓もまだ枯れがれとして掲色の枝幹は古雅な風姿をみせているのだが、真、副、留の部分に枝を配置し前後の奥行きも深く作り上げ、ことに前方の胴の位置、真の裏枝(見越、控)など深く枝を配置して全体の花形を構成し、その後に、中央部分(胴、前管、中間、控)へかけて白椿を入れている。枯幹に対する椿の白花と櫻緑の葉の調和がよい。ことに留流しの楓の枝が全体をひろやかに花形を作り上げているのだが、楓の枯幹が折れやすく中々むずかしい工作であった。生花には細くやさしい草花の花形、どっしりと強いぽくものの花形、材料の個性によって花形を考えることになる。自然の草木の性格によって花形を考えることが必要とされている。竹器の椿の二種を活ける。二重切筒の場合と同じく、下段から上段へ登り生けに作る花形は中々むずかしいものである。竹器に枝葉花が触れないことが条件であり、竹器の窓の中に形よくおさまる花形であること、これが大切である。したがって枝ものを活ける場合に花器を離れて強く前方へ出ることが窓の花の考えカである。竹器の上方と真の高さの釣介い、株もとが芙しく立ち上がること、ことに竹器の内部にある控、留の枝葉花の美しい扱い方、この辺に特に注意が要る。花器に対する花形の安定慇。バランスのよい形が必要であり、技術が優れており風雅に美しい、というのが意匠的生花の考え方である。一璽切筒(鶴首という)に白桃、紅7白桃紅椿

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