テキスト1979
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左勝手行の花形今月号は3月23日に挿花し撮影した。自然咲きの花木には少し季節が早く、温室咲きの材料である。この写真でみるように桃の花も首もとがしっかりして活けやすい状態になっており、木振りもためやすいのだが、桃の生花はなんとなくごつごつとして揃えにくく活けにくい材料といえる。美しく揃える中に自然風な味わいをもたせることが大切であり、ことに一種挿しは留の部分がむずかしい。この写真では中央前方へ出る胴の部分がわかりにくいが、これでかなり胴が前方へさし出ている。右方の株もとに小さい枝が出ており、これは正面下部の花のある小枝とともに、花形に自然風な味わいをもたせるために残した枝である。花器は「紫金銅花瓶」で、花台は(けあき)の木地の板である、足もと(みずぎわ)が少し太いのが欠点だが、土部はこの程度の揃いが適当である。桑原専慶流牛花の代表的な花形で、細い枝ものの基本形である。曲りにくい材料なので、枝にはさ2 白桃2月ころ温宰咲きの桃は花も落ちやすく活けにくい。ことに枝のみで切れ目を入れ、ためる。これを「切りだめ」という。枝の複雑なものよりも、細いひとすじのものを集めて活けると、美しく揃えることが出来花形も災しい。

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