テキスト1979
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三•四0センチ程度の高さの細い茎専渓ニ「けし」は地中海沿岸、ギリシャイラク、西南アジア、中国など温帯に広く分布している草花であって、阿片を採る植物であることはひろく知られているところだが、いけばな材料に使うのは「ひなげし」という種類で、園芸品種のカルフォルア、ポビーという系統の花である。一般には「ポビー」といわれておりにやさしい花を咲かせる。自然では五月に咲く花だが温室栽培のものが二月から見られる。オレンヂ色、黄色、乳白色の小さい花で茎の形に変化があり、用い方によっては中々而白い花材になる。この写真の盛花は「ポビー一種」色を交えて五十本程度をまとめて挿したが、細い材料でもこの程度まで数多く使うと力強く見られ‘―つの個性があらわれてくる。乳白色のガラス器のふちに黒い線条があって、オレンヂ色の花、緑の茎との色調が美しい。<ねくねと曲小さく丸いつはみ、変った特徴のある花である。一束20本程度の材料を三つあわせて挿したが、材料によっては思い切って多く使わないと、作品にならない花がある。この名え方が大切であり、いわゆる初心の人述の近づけない境地でもある。椿や水仙、牡丹、百合のように数少なく入れるのが花を引立てる材料もあり、カーネーションの様に分量が少なくては、作品としてよいものが作れない、という材料もある。これは実際にあたってみて、はじめて理解できる要点である。る誓豊かな花の季節を毎月1回発行桑原専慶流編集発行京都市中京区六角通烏丸西入桑原専慶流家元1979年3月発行No. 189 しヽけばな

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