テキスト1979
27/151

c紅ツバキクロチクコチョウラン(画)R R竹に蘭は南画の古い画集の中にある取り合せである。細い竹に一茎九花や寒蘭の様な東洋蘭の花をつけて配合する好みは、いわゆる文人調といわれる雅趣である。ここに掲載の「黒竹にこちょう蘭」の瓶花は、古い竹蘭の好みを現代調にかえたものといえるが、庭の黒竹の小ぶりのものを切りとって、洋蘭の白花「コチョウラン」を一本添える。花器は黒褐色のあめぐすり花瓶、口もとが細く下張りのある扁壷である。緑と白と褐色の取合せで明るい感じの瓶花といえる。簡単につきさして調子を作った瓶花だが、清楚な美しさが感じられる。c埋め草にする絵がないものかと保存箱をさがしていると、この椿の瓶花図が出てきた。三十五年前に描いた私の写生図である。鶴首の花瓶に一本の八重椿を活けた小品花の絵。花の形もよく絵もさらりと軽く描けている。葉が上下についていて、まん中は枝の線だけというのも面白い調子である。実際に活けてみて、一本の枝を花器に調子よくのせるというのは中々むつかしいもので、なにしろ古いころの絵なので、この花を活けた記愴はないのだが、文人調の風雅さがあらわれていて中々面白い。椿は小品の花に深い味わいがある。c 1厄@ 11

元のページ  ../index.html#27

このブックを見る