テキスト1979
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R返りばなの牡丹、春万月季節の花を咲かせ十一月から十二月に入って返り花を咲かせるのを「寒牡丹」という。わらで叩相かこいをして古木の株もとからわびしく立ち登る小輪の牡丹はまことに風雅である。奈良の某寺の庭で栽培されているのが有名であり、昔から生花に好んで活ける材料である。花は美しいが葉は少なくなんとなくわびし気に咲くこの牡丹は古雅な趣きがあり、初冬の花としてまことに花の中の名品といった感覚がある。白竹の寸筒を花器にして三輪の牡丹。瓶花としては平凡なので、保存してあったホオズキの枯花(紅掲色)を一本添えて調子をとる。小品だが季節感もあり、渋い色彩の中に雅趣のある瓶花である。目然趣味というところを考えて竹筒に入れたのだが、色の陶器がよかったかと思っている。青磁又は褐⑧すすきの比花、りんどう、糸白菊の三秤を腰高の水盤に活ける。水盤の佃面には藍絵のトウモロコシの図案があって季節愁のある花器である。尾花も晩秋になると大きくのびてふさふさとして美しい。三種の花材にも季節感かあって、雑然とした花形であるが色彩的にも深い秋を泌じさせる。少しあしらったススキの菜も効呆的だと息う。りんどうもこのごろになると菜も紅葉しており、脱秋をしみじみと慇じさせるのである。腰底の水盤の花は少し枝業を貼れさせて下部に屯点をおく様に形づくるのが調和がよい。山で野仕のススキは水揚げが悪いが、この写真のように庭で栽培したススキは尼化も大きくなり、菜も広く水似げがよい。6R

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