テキスト1979
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さんきらい白花糸菊赤単弁菊この作品の場合、左右の花形のバランスがむずかしい。白菊三本を普通に活けただけでは上管のサンキライの花形に調和しない。普通よりも高く花形を作って、しかもその背高い菊の花形そのものの恰好がよい、というのでないと駄目である。菊の下葉の形とみずぎわ、これにも注意がいる。筒と筒との間のすきま、これも全体の形に影響がある。二個の筒をならべて生花を活け、その調和を作るのを「二管筒」にかんづつ、の生花という本の筒の場合は「三管筒」の生花である。二重切筒、三重切筒の生花とよく似ているのだが、いずれの場合も花材の配合によく注意して、花形の調和とともに、花材の趣味、色調など、盛花瓶花の場合に考えるのと同じように配合について特に注意する。二本の筒に真行草の花形を組み合せ、また、右勝手と左勝手の形を対照的に活け、花形の大小などについても考える。要は二つの花形がしっくりとよく調和し、その形の組み合わせを考える。この作品は左方の上管にサンキライ、赤色単弁菊を入れ、この花形は右膀手の草の花形で、自然風な楽な調子に形を作っており、右方の下管には白菊三本を上方へ高く立てて真の花形に入れている。一方は垂体の形、一方は立体の形で、この二瓶の対照的な形によってその組み合せを作っているのである。右の白菊は三本で(真、副、留)の三体の形を作っているのだが、サンキライの変化のある形に対して単純な花を入れていることになる。すべて生花には、三本で活ける場合は三態。五本は五態、七本は七態というように花数の多少によって用いる場所がおよそ定っている。技術的にしっかりとした造形、趣味として調和のよいもの、色彩的に美しいもの、これらを総合して配合を考えることが重点である。にかんづつせいか3三4二管筒の生花

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