テキスト1979
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桑原専慶流夏が終っていよいよ秋が始まる、というのが九月の季節感です。ようやく咲きはじめた紫苑にすすきの尾花、九月の特徴のある花材ですが、その他には本格的な秋の材料にはまだ少し早いといったのが、今日(九月十日)の印象です。秋の趣味の深い材料は十一月に入ってからが本格的で、九月は野生の秋草の類というのが特徴であり、栗の実つきや山藤の実なども季節には少し早い感じのするこのごろです。とにかく、そのうちから材料を選んで九月の花を活けたのですが、特にこの月号には、「私のヨーロッパ旅行」のおみやげ話を書くことにしました。八月五日より二十一日までヨーロ撮影してきた写真を埋め草にして雑談をならべてみようと思っております。各地でみる花に特に注意して廻ったのですが、日本の栽培の花もヨーロッパの栽培の花もそんなに違いがありません。樹木にも注意しましたが、私達が見なれているようなものが多く、二三、面白いものがありましたが、ただ同じような樹木にしても、その栽培の状態とその形の作り方が変っているという点に特徴のあるものがありました。また、野生の花の中に日本では見られないものが―二種あった程度で、これは日本の園芸が発達しており、ほとんどの洋花が日本で栽培されているということでもありましょう。その中で、イタリアとオランダは緯度が迩い、湿度も迩うのでそんな関係で野生の花にも変ったものを見うけますが、園芸栽培のものはそんなに変ったものはなかったと思っています。ッパの六か国を廻ってきましたので、コチョウラン毎月1回発行アンスリウムの葉タニワタリ編集発行京都市中京区六角通烏丸西入桑原専慶流家元1979年10月発行No. 196 しヽけばな

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