テキスト1979
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い手⑭ムっイふ柑ブッシュカン(仏手柑)はミカン科に属するもので、高さ3メートル程度の小喬木である。夏のころ白花を咲かせ初冬のころ黄色に実が色づく。指を重ねた形に似ているので「仏手柑」という雅名がつけられているのだが、盆栽に育てられ専ら観賞用として趣味の人達の間に愛好せられる。瓶花の材料としては珍しいもので、古雅な文人趣味のいけばなに用いられる。一般的な材料ではないが、盆栽会の盛りもの(仏手柑、春蘭、ふきのとうなど取合せて餞宜用として床の間に飾る)として用いることが多い。風雅な趣味のものである。掲載の写真は仏手柑に白一文字菊の二種を濃緑色の扁壷(へんこ)に活けたものだが、枝振りもよく実の色も黄色によく色づいて新鮮な感じがあり、折から新年の飾り花としてことに適切な瓶花といえる。かなり重量があり、垂れた実の位置をきめるのに技巧がむずかしいが、写真の作品は花瓶の前へ菫ねるように実をおき、花器との色調を考えた。白い一文字菊との調和もよい。なんとなく雅趣重厚な感じの花だが、この様な好みを文人趣味といって瓶花の中の一系統に厩した作品である。「文人ーぶんじん。文雅にたずさわる人達が余技として、著画、瓶花、盛りものなどを作った作品。またその趣味」ぶんじんしゅみびんか文人趣味の瓶花毎月1回発行桑原専慶流No. 187 一文字菊編集発行京都市中京区六角通烏丸西入桑原専慶流家元1979年1月発行しヽけばな

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