テキスト1978
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Rオミナェシ、作る。普通にはこの材料は二つとも主材になる材料であり、この配合も変わった取合せといえる。普通の常識的な取合せから離れて考えることも、新鮮な作品を作るという意味で大切なことである。フトイの二種で盛花をオミナェシの淡黄色の花と黄みどりの葉、それへ濃緑のフトイの線条を直ねてみると、この二種は形も色も個性も迩っているだけに中々面白い配合となった。オミナェシを左右に倒して少し曲線を作ってあるのも効果的である。cオミナエシの淡黄色にトルコキキョウの紫の花を添える。カキツバタの実2本を入れ、これで調子がぐんと面白くなった。花器は白い陶器のシチューナベである。トルコキキョウのつぼみをとりさり、強い紫色の開花だけ15りんほどもあ春の花と考えられるものが、秋になってふたたび花を咲かせる、という草木がある。桜、ツッジ、ボケ、ボタン、カキツバタなどがこの種類である。これを般に「かえりばな」という。いけばなではこれを風雅にいって「かんざくら」「かんぼたん」「かんぽけ」などという。杜右は「かえりばなの杜右」また「四季咲きのかきつばた」という特殊な名をつけ、生花の場合には「父の杜む」「秋の杜芯」「冬の杜若」と区別をつけ花形の中にその季節感を出すことが定められている。杜若は存五月の本季の花が終って七月になると、ふたたび花が登り、そのときには杯の花が実となって入り交り、特殊るだろう、その花首をそろえて挿してある。その中央に高く、また左方低く横一文字の形にカキッパタの実を二本入れる。これでこの盛花の感じが一段と強くなった。主役はトルコキキョウとカキッバタの実。オミナェシは副材。な情紹を見せる。これを花道では「夏の杜若」という。盛夏が終って九月の秋草の咲くころ三たび花を咲かせる札祐、これが「秋の杜若」といい、いよいよ晩秋湯一7のころ十一月の末まで低く残り花の咲くころを、る。柏物的には返りばなというのだが、いけばなにはこれを風雅な梢趣として、特殊な名をつけている。いわゆる「四季咲きの杜若」ということになる。紫の花は高くのび上がり、まるい実のある茎をあわせて活ける。生花、盛花、瓶花ともに実を使って雅趣のある花をいける。冬の杜若には枯れ葉を使い初冬の帖紹をあらわすことになっている。「冬の杜若」と名づけるのであ七月は夏のかえりばなの季節であり、c かえりばなの杜若R

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