テキスト1978
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すすぎ女郎花ためともゆりこの月号のテキストには「おみなえし」を主題にとりあげて、いろいろな花形を活けた。生花、盛花、瓶花に「おみなえし」を活けて、変化のある花形のエ夫、副材の配合などについて考えてみたいと思っ。八月から九月へかけて山麓の草原に咲く花だが、栽培のものは七月初旬から咲きはじめ八月に入るとほとんど終ってしまう。八月中旬ごろ乗鞍の丘陵地帯で群落して咲いていたのを見たが、秋草の中の一種とされているのは旧暦九月(八月)に自然に咲くので秋草ということになっているのであろう。おみなえし(女郎花)という呼び名は「おみな」女、と「えし」はその花の色と形が「粟飯」に似ているので名づけられたという。これは腕曲の「女郎花」の一章にる粟の如し」という文章があり、それが出典になっているのではないかと考えられる。「おみなえし」を通俗的に「おんなめし」といわれることもあるのだが「粟いい」のめしという意味を直接的にいったものでないかと思われる。古い文章にはこのおみなえしを「秋風のふくにつれてあなめあなめ」という言葉で、その姿をいいあらわしているのだが、なんとなく妖艶なその花の姿をのべている様に思う。あまり香りのよい花ではなく。中国ではこの花を「敗醤」といわれるのだが、花の香りを重く見る中国人が、このおみなえし、白花のおとこえしを嫌うのも、この敗醤の字から考えるとわかるような気持がする。「むせおみなえしの夏専渓毎月1回発行桑原専慶流No. 182 編集発行京都市中京区六角通鳥丸西入桑原専慶流家元1978年8月発行いけばな

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