テキスト1978
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\。し免込R深い紅色の陶器、辰砂(しんしゃ)の壷に、シマガマの白く白緑の葉、ササユリ、緑のナナカマドの葉を取り合せて瓶花をつくる。ガマは水草であり水盤に調和のよい材料であるが、配合によっては壷にもよく調和する。ガマとナナカマドの間にササユリの開花二輪、これがこの瓶花にしまりをつけている。c小菊シャクヤクc栽培のとき茎を多く立てて花を咲かせると、この形の菊が出来る。淡い黄花が明る<美しい。茎にも変化があり雅趣が感じられる。これに白い大輪のシャクヤク、緑の葉のナッハゼ、この三種が日本の古い絵にあるような品格と、清明な色調をみせている。花器は紺色の深い鉢である。この花器が花を引きたてている。ナッハゼc 水盤について最近私の感じたことをお話する。大体、陶器の作家のつくる作品をみると、水盤というものがほとんど少ない。広口の鉢様式のものは見かけられるが、私逹の考える水盤というものは全然見られないというのが普通である。四日市陶器、砥部焼水盤といったものが一般の稽古用水盤として売り出されており、私達花道の方でもこれを多く使っているのだが、かなり高度の作品となると壷、鉢などが主になり、水盤の力の入った陶器というと、ほとんどないというのが実際である。伝統の陶器として水盤はそのワクの中に入っていない、という習慣もあり、作製の経済的理由もあって、それは了承出来るのだが、私達いけばな人にとって、水盤の花も重要ないけばな様式である以上、しっかりとした水盤陶器を作って欲しいと思つのは当然である。これに対する陶芸関係の人達の考え方を改めてもらいたいと思うのは私のみではない、と思っ。水盤という花器に対する陶芸家の考案工夫を、望むこと切なるものがある。いいものを作れば、高くてもよい、というのが私の気持である。I”1・’ヽ7 \鴫\ ヽ\. f,\ f --

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