テキスト1978
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cミリオクラダスと淡紅色のスイレンの盛花。黄土色の水盤に入れた。この花は季節感もあり色彩的にも清楚な感じがある。フトイにスイレンという古い情紹から離れて、明るc ミリオクラダスい美しさを見ようとするところに、この配合のよさがあると思う。いけばなは「組み合せの中に芸術が生れる」というのだが、デージーではこんな感じが出ない。スイレン23日夜に生花の写真を五作ほど振5月21日先週から少々風邪気味、すこし不調なのだが五つ六つ要件のために13日から数日、東京、横浜へ行く。帰るとすぐ待っているような仕事を片づけているうちに、今日は21日、京都は西本願寺の宗祖降涎会のお祭り、嵯峨嵐山の三舟祭など、その他の氏神の祭りなど重なってなんとなくざわめいている。昨日からの成田の問題をテレビで見ていると、開港式の神事もなんとなく空々しく、これが血まつりというのかと、はらはらする思いである。彩の予定なので、そのうちの「河骨」の水揚薬の材料、よもぎを採集するため上賀茂方面へ午後早々より出かける。よもぎなど郊外ならどこでも見あたるのに、町の中心に住んでいると、4キロ程度は行かねばならない。上賀茂には太田神社の杜若が心閲のころだろうと、神社の前を「梢の小川」ならのおがわに沿うて東へ数町、先日、桑原専慶流展のあった「あぜくら」のすぐ近く、太山神社境内の杜若をみる。花はすでに残花の状態だったが、風雅な人達が池畔に集まって、平安時代からの地誌の解説や有名なかきつばたについての歴史を講師から聴いている。写真を五、六枚とって、すぐ賀茂JIへ歩いて数町、古い土塀の町並を行く。御闘橋の上手の河原におりてよもぎの30センチ程度にのびたものを、大きい袋にいっぱい、おおばこはまだ早く採集できるほどのびてはおらず、これはだめということにして、早々にきり上げる。川辺の道路から折よく通りかかった車に乗ってこれから西へ、紫野大徳寺から金閤寿の森を右に見て等持院、龍安寺など、名所から名所へのメインストリートを鳴滝に出る。右の道は高雄、左は「月にならびの丘の松」という歌詞にある「ならびが丘」薮の道を通り越すと「広沢の池」「大覚寺」をすぎると嵯峨、すぐ嵐山に近い。名所めぐりをしているのではありません。とにかく桂川へ出て「おおばこ」を採集しようというのが私の目的なのである。嵯峨美大の前で車を降りる。この月のはじめから開店したお弟子の志村利子さんの喫茶店「タブロオ」による。中々美しいお店だった。先日たのまれて描いた私の絵「竹、てっせん」の色紙が額に入って、どうにかおさまっているのを見て安心する。帰途、大丸により屋上で子供達の金魚釣りをながめる。夜に入って来客二人あり。午後11時よりテキストの原稿を書きはじめる。(専渓)、森と竹

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