テキスト1978
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c 数年以前のことだった。高野山の山地に熊谷草(くまがいそう)が咲くというので、ちょうど五月のこのごろ見学に行ったのだが、山門から道を右にとって4キロほど山路を行き樹林の中に入ると、そこは熊谷草の群生地でその野生の状態をみることが出来、また、山芍薬(やましゃくやく)の花の群落の状態も見ることが出来て、実によい勉強が出来たと息っている。オオヤマレンゲ(一般にはオオヤマレンという)は大峰山に野生するという木辿の一種で、朴の木辿によく似た木質の低木に五、六月のころ、白花を咲かせるが、これは関東以西の暖地の深山に野生する樹木である。普辿は栽培柿のものを私逹が活けるのだが、これに大輪花と小輪花の二種があり、大輪花が水揚がよい。木辿という名の如く華やかさがなく、一般には好まれない花だが、hJJから六月へかけて咲く特殊な花材として特徴をもつ花木といえる。一秤挿しがよく、落布のある花器によく調和する床の間むきの花材である。小品花がよく、大きく入れるのは下品に感じられる。ゲを一枝、キキョウの早咲きの花を添えて自然趣味の投入れ花を作った。花堺はアケビの坐であんだ手附き篭である。山木山草の配合ということになる。日本趣味の落着きのある花であp4の篭入れの瓶花はオオヤマレン方の留の直立して挿してある枝、足も点でこの(クマジロギボウシの葉)は効果的だと息う。ハゼ、ヤマナシ)の様な木もののあしらいとしては適当だが、シャクヤクを主材にして副材に他の花を添えるとなる。オオヤマレンゲに他の材料を添えるとすれば、キキョウ、ササユリ、ヒメユリの様な野趣のある花がいちばんよく調和すると111心う。花器は禄色やきしめの壷である。幽雅なオオヤマレンゲにはいちばん適当な取合せだろうと思われるのだが、椿の一種挿しのように、あまり大きく入れないで花と葉と、それに枝のもつ線の活きて見えるように、さらっとしたさばきを美しく感じさせる清楚な技巧、これが望ましいと111心うのである。それがためには前後の枝葉の重なり、花の配置、特にこの瓶花に注意したのは右とが花瓶に美しく入っているその形、こんなところに特別な注意をしているのである。作品⑧はシャクヤク(紅色)とくまじろのギボウシの葉、これは高く花の立つミズギボウシの葉だが、シャクヤクの葉の群りに直ねるのには、形と色の迩った材料を添える必要があり、前ページのシャクヤク、コクワヅルの様に、シャクヤクの葉と混雑しない様な材料を選ぶことが大切であり、そんなシャクヤクは他の花材(青楓、ナッると中々むずかしい。p5のオオヤマレンゲ一種の瓶花。5 ノ\ ,. 屈ヽI /~ 人;I I I 辿/ t'

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