テキスト1978
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c アイリスフキそえて白竹の篭(かつらかご)に入れる。さっぱりとした感じの花である。ふきの花が50センチほどのびて花も枯れがれとなるこの頃になると葉もしっかりして切りとって活けても水揚げもよくなる。足もとを熱勘につけて三分程度、その後、冷水にうつす。緑の葉が白竹の篭に調和して清楚に感じられる。私の庭にはえているフキの葉だが、このフキについて古い想い出話がある。年以前のことだった。日光旅行のあのときに同じ宿に宿泊したのが秋田県から日光へ見学にきた女学生三人だった。つれづれの旅先で友達をつくることはよくあることだが「この次は京都へいらっしゃい」と、全く好意をもって読ったのだが、その年の秋も深まったころ、この三人のお嬢さん達が私の家へ突然と訪ねてきたのだった。旅の友達は実になつかしいものである。私逹の家族もそろって歓待したのだったが、三日問ほど私の家へ泊って京都の見学をおえて帰ったお嬢さん達、これが奇縁となって手紙などの交際をするうち、き」の話がきっかけとなって、翌年の六月ごろと思うのだが、かさ高い荷物が若いてこれが私の待望した「秋田ぶき」の贈りものだった。あの地方では雨の日に子供逹が傘のかわりに秋田ぶきの葉をかぷるという話もあって、さすが大きい葉とともに株つきのものだった。早辿、これを庭に植えこんだのだが、年ごとに葉も小さくなり、秋田ぶきの特徴もなくなったが、毎年そのころになると花に活け、この秋田ぶきの思い出を楽しむのである。cァイリスの青紫色、アキタブキの葉を七、八「秋田ぶ5

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