テキスト1978
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専渓前月号には日本種の季節の花を活けてみたが、今月号には小品の花八作を活けて、小品花の特徴についてお話しようと思っ゜小さくとも引きたつ花、ひきしまりの中に心をひくような作昂、これは小品花の必要な条件である。いけばなは大きくかさ高いものがよいとは限らない。大作は広い場所に飾る花であり、材料によっては小さく縮めることの出来ない様な山木の類、広葉もの、棗華な形をもつもの、これらは大きく活けてこそその花を引きたて、大きい花瓶、広い場所に調和することになる。これに反して小さい部屋の花として、窓ぎわへ置く小さい花瓶の花など四帖半程度の床の間の花、その他、洋室のサイドテープル、軽く挿されているのだが、ふと目をとめて見ればその花の撰択も分量も色調もすっきりと、小さい花だがその美しさに強く印象づけられる、そんな花が小品花のいちばん優れたもち味といえる。少ない材料、日本趣味の花も洋趣味の明るい感じの材料でも、心にくいほどの美しさを見せることの出来るのは「小品花」の個性であろう。小さいが充分技巧と考案を要する作品である。居間の棚の上など、美しさ小品花の毎月1回発行ガラス器に活けたフトイの細い茎3本,黄花のパンジ一の配合が単純で美しい。新鮮な感じをもつ小品花。桑原専慶流ノぐンジ一編集発行京都市中京区六角通烏丸西入桑原専慶流家元1978年5月発行No、179 いけばな

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