テキスト1978
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ヽし花□jJ十二月に入った冬の初めの日である。早朝の時雨にたたかれたのであろうか、黒々と雨にぬれた庭の土に寒椿の淡紅色の花びらが、点々と散りしく様に落ちて鮮やかに美しい。二、三本のまる葉の柊の樹は、白く小粒の花を落してゆくのだが、かすかな音をたてて庭の砂をさらに白くおおいつくす様に落花を重ねている。夏は皮、秋は秋、すでに冬に入ったというのに、山積した私の仕事はいつになったら片づくのだろうかと、ふと思い出す様に考えるのである。きのう白い佗助の花か一輪だけ咲きはじめたが、せんりょうの黄色い実、赤い実がようやく色づいて、いよいよ年末の感じを深くしている。今日は十二月冗日、数H前から急に冷えびえとして、机のわきには私の愛用の火鉢、中国陶器なのだが小さい草花枚様のある色絵の火鉢をおいて、この原稿を書く。まもなく新年のための花を掏ける時期である。迎春用の花は特に大きいものが欲しい、という人は別にして、普通は小型の花材でも、少い分旦でも質のよい材料を買う様におすすめしたい。松、梅も小坐のものがよく、あしらいの花に高級な花材をつけると引き立つ花となる。〔老松老松以上の取合せで主材を梅にかえる。老梅〔老梅老梅、紅椿もよい。洋蘭を加えるのもよい。〔若"松右松水水仙仙千バラ訓一雪柳黄単弁菊〔苔柳スカシュリ一紅ホケ単弁菊紅ホケ白百合水仙〕老梅バラ[老梅水仙紅菊[若松祥蘭紅菊芯松水仙紅菊一古柳紅椿〔雪柳アイリス〔白ボケ白ポケ紅菊紅椿[老老松松白水白仙合千千両両一紅椿〕毎月1回発行桑原専慶流No. 175 グロリオーサススカカシシュュリリ水〕仙ノゞノゞフフアロカシア編集発行京都市中京区六角通烏丸西入桑原専慶流家元1978年1月発行しヽけばな

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