テキスト1978
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日本の花の特徴は「静けさ」「落舒」きといった情緒であろう。牡丹、桜のような華やかな花であってもその形と色の中に「優美」な色調、日本特有の品位があって、華麗さの中に「沈静の美」といった悠党がひそんでいる。それがゆえに私逹は雖美な美しさを花にもとむるよりも、散りかたのあわれの巾にその花の美をもとめようとする。と花の散るタベかな」など、古い歌にあるような美にあとがれる。外囚種の花は多くは亜かな色彩美、外面美のものが多い。日本の花木と草花には、自然に咲く花の情紹があり、洋花とは別の日本的な静寂の時がある。私逹のいけばなにはその日本の花の特徴を迎解して、日本の花の美しさを活けるのである。Rつばき、かきつばたは春に咲く日本の花の代表、ともいえる。古典の立花の材料の中でもこの二つは特に好んで用いられ、盛花瓶花の現代花にも季節悠の深い花として活けることが多い。この写真、竹の二重切筒に白椿とかきつばたの二種。二重切筒は生花の花器だが、時としてこれに瓶花様式にのどかな感じに活けるのも面白いと思う。「おのれおのれ左右にふりわけて古風なバランスに形をきめて活けたが窮屈でないところが、一種変った個性のあるいけばなとなっていわば生花と瓶花との「合の子」いる。といった調子の花である。青芽柳、つばき、かきつばたといった取合せや、青楓、姫百合、野菊といった配合も面白いだろう。洋花はうつらないだろうが、日本花を材料とする一種の意匠花といえる。R 白椿かきつばた6, .. ,_:-.

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