テキスト1978
39/146

専渓いけばなの材料に使う花を考えてみると洋花が多い。ことに春の花材には洋花を多く使う。秋には洋種の花が少い関係もあって枯淡な日本趣味の作品が大部分だが、春の花には温室栽培の洋花類、ことに観葉植物を活けることが多く、盛花瓶花にはことに色彩的な洋花を使う場合が多く、副材の草花類には一層、洋花を使うことが多い。今月のテキストには春の日本種の花木と草花、というところに注意をむけて材料を選び、それらしい趣味の花をつくることにした。日本種と限定すると意外に少ない。ひごぜんまいてっぽうゆり紅つばき花の名には野生する土地の名を冠することが多い。テッポウユリは琉球諸島の大局に野生する白百合が原秤で鉄砲がはじめて渡来した大島に咲く百合をテッポウユリと名附けたという説がある。したがってこの白百合は「大島百合」ともいわれている。朝鮮海峡の竹烏に咲く黄色の百合を「竹島百合」といい、この写真にある褐色光沢のぜんまいを「肥後ぜんまい」と呼ばれているのも同様の土地名である。細い茎のまる<巻いた形のぜんまい、白百合、紅色のオトメツバキの三秤を黄土色の横長の水盤に入れたが、落粋きのある盛花となった。色彩的にもよく日本の花の雅趣の深い花といえる。花瓶の前方へ垂れさせた椿の枝に特徴がある、春の花日本種の毎月1回発行桑原専慶流編集発行京都市中京区六角通烏丸西入桑原専慶流家元1978年4月発行No. 178 しヽけばな

元のページ  ../index.html#39

このブックを見る