テキスト1978
25/146

←タ,` • 99`杜丹は晩春の五月に咲くというのが普通だが、同じ牡丹でも「寒牡丹」かんほたん、というのは十二月はじめより一月中旬まで雪面の中に咲く種類をいう。奈良県の長谷寺、当麻寺など春の牡丹の名所として有名だが、雪を凌いで咲くという寒牡丹は、ことに風雅清玩の花として趣味の人達の間に好まれる。寒牡丹は生花にも伝統の名花として特殊な活け方が定められており、古来、秘伝の花ということになっている。寒牡丹の枯淡と季節を超越したこの花の心を作品としてつくることを教えているのである。大和、石光寺の寒牡丹は有名だが、ここに掲載したのは京都の俳人、村上正氏が12月26日、同寺を訪れて撮影されたものを拝借したものである。石光寺に栽賠されている約二干株はすべて寒牡丹であって、冬に入ると写真の様に一株ごとに藁の霜がこいが作られ、古い絵図にある様な雅致のある風景が見られる。寒牡丹は別に「冬牡丹」ともいい詩人俳人の杖をひいて風雅を楽しむという、脱俗の花である。' . . ヽ, 寒t、滋婿11 丹互牡ぽ

元のページ  ../index.html#25

このブックを見る