テキスト1978
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右勝手の副流しの花型である。右方の留は前方へ強く出ており、瑞枝(ずわえ)が鋭く立ち上っているところがよい。控と留とが同列になって塾よく立ち上っており、いい形である。真も複雑な枝振りの中にまとまりがありバランスがよくとれている。真と留に比較すると副の力が少し弱いのが気になる。ぼくの太いものが一本入っておれば、と思う。従って副の長い割に変化が乏しい、というのがこの生花の欠点だろう。左方の下の胴も調子よく、ことにみずぎわの強く美しい技術には安定した技巧のさえがある。花器は黄土色の陶器だが花と花器との均衡もよく、爽の高さとのバランスもよくとれている。とにかくよく出来た花だが、副に問題のある作品。三月はじめのある日、京都植物園の茶席の庭に咲く淡紅梅。古い雅名に梅を「好文木」または「風待草」などと呼ばれるのは、古い文学、水瓜画などに描かれ常に幽玄孤高の品格をもつ花木、ということからきており、「梅が香」などといって、しずかな風が伝えてくるような呑り、それが風待草などと雅名をつけられたのであろうと思う。梅の生花竹中慶敏作~ 4文え木り好:

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