テキスト1978
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ゲットの枯ればな、水仙、菊の三種を盛花に活ける。この取合せも前作と同じように、線の材料と群がりのある葉ものとの組合わせである。枯ればなの褐色、水仙の白花と白緑の葉、寒菊の紅葉は色彩的にも美しい。花器は淡い紺色の高足の盛花器。立体調の花形だが側面図をみるとかなり前後に傾いている。奥行の一葉に紅葉の寒よって深みのある花形となっている。ゲットは日本名を「熊應蘭」クマタカラン、という。古いころから見る花で私の記憶では明治から大正時代にすでに一般の花屋で売られていた草花である。そのころは寸法も長く、三メーター程度の長さの太い茎の先頭に花茎がのびてさがり、紫白の花が数多くついている、そんな姿の材料だった。ちょうど七月の祇園祭のころ、花市場で旦扇などと共に、毎年の季節の材料として一般化され、これを大きく深い水盤に生花として活けるのが普通だったが今日の様に洋花の中に入る性格には取扱われなかった。そんな材料であった。ちょうど露地で咲くカンナの様に考えておった夏の花であった。古い私どもがとまどいする花材である。〇趣味のよいいけばなであること〇造形的にたしかな技術があること0明る<美しい色彩があること0品格のよい作品であること0花器との調和をよく考えること活ける私達も、見ていただ<皆さんにも楽しい花を活けましょう。私達のいけばなはR ゲット水仙寒菊R 10 ••••

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