テキスト1978
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新鮮な緑の若松、色づいた柿の枝、一文字菊の単弁白色の取り合せ。濃い紫色の広口花瓶に活ける。松と柿を前後に重ねて個性の辿った二つの木ものと色彩を前後に重ねて効果を考える。松と柿の枝の前後にかなりの空間をとる。この空間によって花形の「浮き」が作られることになる。菊もかなり前方へさし出ている。R図は前面からの写真だが、左右の長短の変化をとりながら前方へ強くさし出ていることは⑧図の側面を見るとよくわかるだろう。この瓶花の材料の配置は前方に強く後方は軽い一本の柿の「控」によって奥行が作られている。松と柿の実の重なりに重点を考えた作品なのである。前号テキストにおいて述べた様に普通の作品は、横巾と奥行とが大体同じ、というのはこの松、柿、菊の瓶花がそれをよく示している。この作品は日本趣味の雅趣のある配合で、かなり強くしっかりとした瓶花である。若松はどの場合でも傾けて挿すと感じのよくないものである。直立しているところに個性がある。わかまつ11月10日すぎから風邪、起きたり寝たりするうちにどうにもならなくなって本格的に就床。月末まで二週間、万事休す、ということになる。そんな関係でテキストがおくれたととをお詫びいたします。単なる風邪と診断してもらって急に元気づいたこのごろ。この号は11月30日挿花、写真撮影。け(トリミング)につづいて、午後早々より原稿を書きはじめ午前3時、5ページの終りのここまで書き終る。明日中には残余を書いて6日印刷にまわす予定。(専)5柿一文字菊4日全体の割りつR ✓ R

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