R三尺床、一問床などに小品の瓶花は調和のよいものである。小さい花瓶にひきしまった形に活けた小品花は、部屋の中にうるおいを感じさせる。すべて大きすぎるいけばなは下品に見え、小振りの花は品よくやさしさを感じさせる。時として大作よりも小品のほうが美しく見える場合が多い。小品のいけばなは一種挿がよい。軽やかに活けた小品の花は見る人の心に深い印象をあたえる。小品花に適する材料を考えてみる。すいせん、椿、菊の小さい壷の一挿挿、小菊、紅葉寒菊一種。また細口の花瓶に白菊一本というのも中々よい。春から夏へかけての花には、カキツバタ、ハナショウブ、ボタン、シャクヤク、ササユリ、ヒメユリ、トモユリ、秋の秋海棠、ホトトギスなど、一種を小品に活けて引立つ花である。この写真の小品花は設赤色単弁の菊二本、花器は淡青色の壷だが、花と花器ともに40センチ程度の高さの花である。置、葉一枚までよく目のつくものであるから、技巧的に行きとどいた、花であることが望ましい。タメ小品花は花の位すっきりとしたR柿、ヤシの実、クロトン三種の瓶花である。面白い配合なので花器も変った形のものを活けたが、出来上った写真をみるとどうも気に入らないので、没にしようかと思ったが、とにかく配合の参考にもと思って掲戟することにした。ヤシは黒い光沢のある実がふさ状に群ってついており、重く垂れている。山の柿が黄色く赤く色づいて、足もとにクロトンの葉を添えたが、このクロトンの葉がよくないと息っている。カシワゴムの濃緑の大葉二枚というのが適しているだろう。撮影の日の午前三時ごろになって、疲れ切った最後の作品で、面白い調子の花なのに、どうも気に入らないのはクロトンの軽やかさにあるのだろう。前ページのヤシ、クリスマスボールの瓶花にもこのヤシを使っている、同じ材料である。柿とヤシまではよい配合なのに、クロトンですっと力の抜けた様に見えるのは、配合の失敗ということになる。これも―つの参考作である。10
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