テキスト1978
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c クリスマいいぎりほけダリアスボール一文字菊ヤシの実R R桐の種類、七、八メーターほどの高さの樹にナンテンによく似た実がみのり緑の広い葉。庭木によく見る木である。「いいぎり」とも「なんてんぎり」ともいわれる。没字で「梧桐」という。ひろがりのある材料でいけばなには活けにくい調子の材料だが、秋日をうけてまっ赤な実と緑の葉がいかにも長閑に美しい。大振りの瓶花に活ける。青色の陶器(中近東)に二本さしこみ、枝をはらって形をととのえる。白花の一文字菊をたっぷりと入れて、果的な花といえる。色彩的に派手やかな美しい瓶花。てお屋敷風の家の庭から、高い塀を越して樹木の中にこの「いいぎり」が見えていた。美しい豪華さを感じたのだった。庭木には縁起のよい品秤を選んで植えるのが日本の習慣である。松、梅、竹を第一として、その他に実のある木もの、なんてん、せんりょう、おもとの様な実のある低木、草ものの類、その他いろいろあるのだがここに掲載した「いいぎり」もそんな意味の縁起のよい木ということになる。また、新年の門松や神社縁日の飾りものなど(たとえば、酉の市の熊手のように)ものとして大衆的に好まれる伝統の習慣もある。祝事のためのいけばなにもこれを考えて花材を選択するのだが、これも伝統の習慣であって必ずしも、という制約はないが、まず社会的な慣習に従って祝意のある花を選ぶのが無難であろう。私は縁起をかつがない性格もあって、私の庭には泰山木(夏の木蓮)があり、椿二十種ばかり、夏には述花が咲き、秋にすすきの穂が立つという、至って天衣無縫の状態であって、また、なんてん、せんりょう、やぶこうじなど実ものもあり、伊予笹、福寿草などすべては、季節感と植木の姿形、好きなままに植え込んだ至って明朗な庭である。10月のある日、芦屋の裂通りで見かけた新築の日本だこの瓶花は大きく活けるのが効、いわゆる縁起@ R 8

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