テキスト1978
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(単弁白椿)c 備前焼の陶器は高さ25センチ程度の花瓶で白椿を一種、備前焼の壷に活ける。この形は新しい様式の花器である。さびた枝振りの椿を軽やかな調子に垂体に活けたのだが、椿としてはひきしまりのある花形である。椿は、二輪の小品の花が好ましく、大瓶花盛花を奥深く作ることは大切な条件です。強く前方へ枝葉花をさし出し、後方ヘ深く枝葉を控えて前後の深い作品ほど、よい作品といえます。花材の差迩や上下の形の関係から寸法ではあらわしにくいのですが、およそ作品の横巾の長さの寸法と同じだけ、前後の深さが必要、と考えるのがよいのです。さらに花材によっては左右よりも前後の寸法を深く作ると、いよいよ優れた作品が作れます。このテキストの作品写真をみると平面的な形は理解できても、前後奥行きについてはわかりにくいと思います。来月号には一作ごと前面の写真とと枯淡なもち味のつばき瓶花盛花の前後奥行ききく活けるほど品格が落ちよくない。この瓶花のように大きく活ける場合はよほど材料を選択しないとよい花が作れないと思う。椿にはあしらいの花をつけないこと、一稲挿しがよい。他の花材のあしらいにつける椿は上品に見られるが、椿の主材には根じめをつけないことである。もに横からの写真も添えて理解のゆくようにしようと考えています。毎月第二火昭日に家元花席で花昭会の研究会があります。多くの作品を通じて奥行のたりないのが欠点となっています。皆さんの作品も特に注意して奥深い花形を作るようにして下さい。優れた瓶花盛花を作る大切な要点です。もちろん、それには必要なテクニックがあります。それもお話したいと思います。花形は枝葉の空間によって作られること。美しい空間と、前方の花瓶の前へ垂れる枝葉の技巧、これも花形を美しくする。椿7

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