テキスト1978
124/146

こじゅうきりづつすいせん紅椿十一月に入ると水仙が咲く。水仙と椿が咲くようになるといよいよ冬の季節に入ったことを、しみじみと感じるのである。二重切筒の細く軽やかな形の花器を選んで水仙、紅椿を活ける。二重切筒もこの程度の小型のものが上晶に見られる。上段に水仙三本を右勝手副流しの花形に活け、花を低く、袴(白いかぷ)も低く作り初期の感じをあらわす。下段に左勝手の紅椿を入れ、これは副を長くさし出して、上段下段の形せいか竹器は生花に調和のよい花器である。寸筒(ずんどう)というのは、真竹(まだけ)孟宗竹(もうそうちく)を高さ九寸(桑原専慶流の定め)に切って花器にする。その他、一重切筒、二重切筒、三重切筒、また竹筒を組み合せて花器とする二管筒(にかんづつ)三管筒(さんかんづつ)。かけばなの竹器、釣花生などに作られることが多く、いずれの場合も、竹の淡泊な情紹と、生花の趣味に調和するという特徴を与えて伝統的に使われる様になったのである。また、くばり木をかけて工作する生花の技法には、口もとが上下まっすぐな形である竹が用いやすく、生花の工作上、竹器が適しているので習慣として多く使われている。しかし竹器は割れやすく(古くなれたものは割れることが少い)いう欠点もあり、常用の花器としては不適当である。練習用に使い、時々とり替えて新しいものを使うというのがよいだろう。の調和を考える。生花の中でも二重切筒、三重切筒は花材の配合のよいもの、色調を考えて取合わせ、バランスのよい形を作りあげる。意匠内な生花であるだけに美しく清楚な感じに作りあげることが大切である。、よごれやすいと二重切筒の生花生花に使う竹器2

元のページ  ../index.html#124

このブックを見る