テキスト1978
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生花は伝統のいけ花である。伝統とは古い形式や技術をうけ伝えることなのだが、芸術作品の場合には古典的な形式技法をそのまま再現するのみでなく、時代のうつり変りにしたがって、また新しい時代に生きる作家の意識によって新鮮な工夫が加えられてゆくいうことが、その真実の精神である。いけばなはそのはじめの時代から今日においても、生活の周辺のあらゆる機会にあらゆる場所に花を飾る、ということがその目的で今fとあって、したがって生活様式がかわり環境の状態が変化してゆくにつれて、いけばな作品の様式が変化してゆくのも当然であり、伝統形式的な「生花」には、それを作る意識にも変化が生じるのも当然ということになる。ことに、いけばなは素材である「花と花器」が中心になって作られるものであるだけに、今日、花材の変化と花器のいちじるしい変わりようには、伝統の生花といえども、日的な新しい工夫が必要であることはいうまでもない。今日の桑原専慶流の生花は、伝統の形式技術を基礎において、しかも現代の生活に調和する「今日の生花」をつくることを目標にする。生花のもつ独自な技術の中に気品高く、明るい色調のある美しい生花を作ることを目標とする。生花を勉強する皆さんはその作品の中に常に新鮮な感じのある生花をつくるように考えて欲しい。生花・淡紅バラ一種専渓毎月1回発行桑原専慶流No. 185 編集発行京都市中京区六角通烏丸西入桑原専慶流家元1978年11月発行しヽけばな

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