テキスト1978
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、,: • ,~:~ti,!f誓:-~ 八月のすえ三日間ほど蝦をみつけて上高地へ小旅行に出かけた。いつものように帝国ホテルに部屋をとったのだが、このホテルも昨年改築されて新しくはなったが、古いころのほうが山のホテルらしい感じがあってなつかしい思いがする。静かな林間のこみちを考えることさえもなく、足ろつ。梓川(あずさがわ)に添うた落葉の道を、しばらを運ぷようなそんな情緒が、日頃あわただしい生活をしている私にはこの上もない慰めとなるのだろくは人影もないのに、突然と白樺の林の中から登山服の元気のよい青年がただひとり、黙々として歩いてくるのに出会う。穂高か槍ケ岳への登る道なのであろう。随分以前のことだった。私もひとりの山路を楽しんだものだったが、そのころのことを恢しく思い起こす。河童橋には観光の人達が多いだろうと、なるべく静かな道を穂高栢から梓川を渡り、向う岸の草の道を歩く。雑草の道には白山菊、秋のきりんそう、たむらそう、ふじばかまなどが咲きつづいている。清冽な梓川の流れが淀んでコバルトブルーの深い渕をなしている。その岸辺に美しい大山野菊が咲いており、あまりの美しさに、写真にとったが、淡い紫色の花とみずみずしい葉色が心を洗うようなすがすがしさである。ひえびえとした露も写真の中に入るようにと思いながらとった写真、私の夏のおみやげである。そのころ、私は岡山市へ行くと烏城通りの「笹屋」という和菓子屋へ立ち寄るのが例のようになっていた。この店の主人が大変趣味の深い人で手ずからに造る菜子も中々、形よく味よく雅趣のあるものだった。茶花につかうような四季の花を自分で栽培して、いつも店に季節の珍しい花が活けてあって、その主人はいささか変屈だったが風雅を知る中々いい人だった。ある年の春、わざわざ、私の手許まで送ってきて下さったが、それを私の庭に植えたのがよく育って、毎年九月のその季節になると白花を咲かせるのである。数年前に笹屋の主人はなくなったのだが、この「まんじゅしゃげ」はその季節を忘れることなく、私の庭の一隅に白い花を咲かせている。今年の秋も佗びしげに三本の白花を咲かせた。人の命は意外に短いものだけれど、その人の心をこめた花は意外にも健康に、いつまでも私の庭に咲きつづけている。(専渓)「まんじゅしゃげ」の白花の球根を曼珠沙華’ヽ・、..._,. I ~ 曇f,..._ ,. • 1.; ~\ , "~.-·• ● : ', ~—·--1' .~,, ,. ,・・、、・ -・ . .、・・ふ-rs~.、l ~ ・・, "'". ~、• ... ・. ぷ......:...."'~— • I/~ .. , ■ .、~"°""'~、、~-,.• ·.、~.• 釦→・ヽ... .' . ■ . j-(・ ._.,. ・ヽ, . ~..'--9-~~J ..、企-. • I . .. ・, 、--?,りク.ヽ11'.! 12 ~. -~ 企、..';、~~ ざ'>"ヽ叫べ,1~,.:'さ炉/,: , t -;.• ,:9・U. ・ 一`ででぶで上.'~:::、....疇べ々、、:~喝‘”―•., ~·r •. . . , .. ,、.、,t・・邸f唸iiざさlr.-ii ~ ~, ,-~~-~t.·... .'. ~~ ・,, . • .、i.),. 鼻‘, .. ':• ・ぶ沢t四?唸`ざ:;嘗、.:·、夕~...\ゞ,ー・'.らf -·;',...__~ ~ C・・t真・ユ蒻:::.:~讐``.ヽ・、‘’ ヽ,·-.·~~~譴豆、も(;:~... :-,..• •. -.' .、、t>,• .、~·... • ; • ••• ・.、f,..、.. ..、、、:. ~; ..• ~ .疇o.,._,,. J•• .. \.\I'• I鼻..·.-~ 傘;'';~'' • • .. ••• ヽ,~..;_,』、、,、J、、,.. • (> • . -"'!, ~.. -. :: ・. :、),.、・ヽ'. ·•'、',,...... -. , ... へ、, ≫

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