テキスト1978
121/146

以上、小品花を20作ならべてみた。10ページのけいとう、ナルコユリの盛花は、普通より分最も多い作品で、これは別の性格の作品である。簡単に活けられる様な小品花だが、やってみると意外にむつかしい。材料も少量でよいと考えられるが、よい花を活けようと思うと、少くては駄目である。普通の分量を用意してその中から、選んで活けるような考え方でないと、よい作品が作れない。花展などでよくある例だが、小さい作品でも大作と同じ程度の材料が必要であって、小さい花ほど手数がかかり、活けにくい場合が多く、大作の方が自由にのびのびと活けられる関係もあって、活けやすいということがよくある。小品の花にはすぐれた技巧と、しゃれたアイデアが必要であり、意外にむずかしいところがある。⑧ c ななかまどc濃い緑色に金色で描いた医案。高級な花器ではないが四角の形がひきしまってよい形である。ナナカマドの赤い実が細い茎にわずかばかり残っている晩秋の花材。白花の山菊をつけて小品花とする。枝を中心にその前後に山菊を入れて小品ながら奥深い花形をつくる。季節感のある花といえる。黒い薄板をしいて床の問に飾るとよい調和であろう。小さい花だが六帖の部屋程度にちょうど適当な瓶花といえる。また広問の書院窓の花にもよく、座敷の隅に平皿いた棚に飾るのもよい調和であろう。葉の紅葉した初冬の小菊、寒菊の類も風雅で美しい取合せになる。", さんぎく11

元のページ  ../index.html#121

このブックを見る