テキスト1978
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ャ,R淡黄色のけいとう二本、紫紅色―本、みじかく切って小さい陶器に活けた。この器はお台所用品の小鉢です。どこの家庭でも見かけられる様ないれものですが、花を挿してみると意外によく見えます。けいとう(鶏頚)は最近種類がよくなって葉も水揚よく、色の美しいものが手近に見られる様になりました。農家の庭で栽培されている様な、花としては野趣の深いものですが、荒い線条の模様のあるこの容器によく調和しています。R細口の花瓶にジョウロウホトトギス(上脳)を三本入れた。ホトトギスは九月の花だが普通は褐色で二種類ある。ジョロウホトトギスは黄花で珍しい種類の花である。茶席の花にも珍重される花だが、なんとなく気品があり、花も大きく美しい。九月の小品花として殊に好ましい花だが、夏の黒百合の様に高山に野生する幽雅な感じの花である。床の間の小さい花器に一種挿しに活けると、特殊な花であるだけに、趣味の深い小品花となる。けいとう一種c白い上ぐすりのかかった小さい壷゜花はオミナェシ、白ハギ、紫ギキョウの三種である。細口の落着のある花器なので、この秋草の配合がよく調和する。九月は秋草の季節であり、代表的な季節感のある瓶花といえる。この壷に分量を少くして活けるのもよく、大ぶりの篭などによく調和する花である。(すすき・白菊二種)(すすき、山菊)(りんどう、すすき)(白菊ななかまど)など取合せがよい。(高さ30センチ)私達は部屋に花を活けて、生活の中にうるおいを添やます。新鮮な花が活けてあるのをみると、ほっとした思いがするものです。大きすぎるいけばなよりも少し控えめのひっそりとした花の方が上品に見え、花自体も引き立つことになります。そんな意味で、茶室の花が常にひっそりとした感じに入れてあるのは好感がもてます。茶室は茶道を楽しむための場所であり、そこにある装飾装置はすべて、茶道の趣味に調和するものであり、その席の花も当然、茶道のための花であって、その場所にうるおいを添える程度の素朴な感じの花を入れます。その季節の自然の花、茶のこころに調和する様なしずかな花が好まれるわけです。また、一輪の美しい花は茶室に色彩を添えることにもなるわけです。花道においての小品花は、これとよく似ておりますが、その考え方において根本的に違う点に注意しなければなりません。いけばなの小品花は、生花、瓶花、盛花のすべてにある小作の花をいいます。したがって作品ともいわれる様に技術的な造形、形を作るために技術を加えることになります。自然の花と、いけばなの技術との組み合せによって、いけばなが出来るのですから、自然そのままを尊重する茶花とは、その考え方が違うわけです。また、茶花は茶道の中のある部分ですが、いけばなの小品は、それ自体が芸術の全部といってよいほど、しっかりとした考え方が必いけばなの小品花と茶花R 8

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