テキスト1978
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c洋蘭のバンダ。淡紫色の華麗な花である。洋花に洋種の葉ものをつけるのは、あまり身近かすぎて面白くない。なにかひとひねりしよう、というのがこの作品のこころである。庭にあった蓮の葉の大きくないのを選んで添える。ガラス器に剣山を使って留める。花器の中へ小葉を入れて剣山をかくそうとする。色もよく意外に新鮮な感じである。瓶花の場合、すすきに洋蘭の類も調和がよいだろう。花ものを添えるのはよくないと思う。ガラス器に紫色の闇が色彩的によい。⑬ クカイソウ白菊⑪クカイソウの枯花、白大輪菊の二種を小品花瓶に入れる。夏季の山草のクカイソウ(とらのおの種類)の枯花を活けるのはこれがはじめて。掲色の面白い形のものである。褐色の実と茎が、緑のみずみずしい菊の葉と対照的に色彩が美しい。簡単な花だがはっきりとした感じの配合といえる。無駄な装飾性のないところが小品花のよさでもある。この花器は岡山伊部の陶器で変わった形と備前特有の素朴なもち味があって珍しいと思う。京都の陶芸家が備前の窯で作った小品。(高さ70センチ)c c洋岡バンダ小さい花器にも而白いものが多い。陶器としても中々よいものがあるし、郷土的な香りの高いものが多い。いつとはなく集ってきた小品花器。中には旅行したときのおみやげものも混っているし、いただいたものも多い。これらをながめていると思い出がいろいろあって楽しいものである。花器でなくても食器の中にもこれは花が活けられる、というものもあり、いろいろな機会に集ってきた器物であるだけに、バラエティーに宮んだ趣味的なものが多い。私の手もとのものを集めてみると、思いがけなくも五十個程度までなんとなく集ったのだが、その中から花に調和するものを選んで活けたのが、この月の作品集である。これらの花器をながめながら、これを作った人達にはいろいろな思い出があるに迩いない、と考えてくると一附楽しく、それに花を活ける私にもにじみ出るような心のうるおいを感じるのである。ハスの葉(高さ40センチ)7 ⑪

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