テキスト1978
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むべききょう(紫色ガラス器)はな」を目標に、20作ほど写真にとって掲載することにしました。小品花は第一に材料を少なく入れる関係上、短時間に活けられてしかも意外に引きたつお花になる、という特長をもっていますが、小さいいけばなでありながら、それがよい作品であるようにということは、いいやすくして中々むずかしいものです。したがって、そう簡単にはよいものは作れないということになります。ここに掲載したものは、9月20日に活けたのですが、午後5時から12時まで、1作に対して約10分から15分、写真撮影に約5分という程度を繰返して作ってゆきました。幸いにこの日は材料もたっぷりと揃えることが出来、季節的にも新しい秋の花が出はじめて次々と順序よく作ることが出来ましたが、その中に、花器に変化のあること、花材の配合に対する注意、色彩に対する考え方、小さい花であってもそれぞれの花形に変化があること、趣味のよい花であること、などいろいろな条件を考えつつ、作っていったのです。なにしろ予定ということをしないのが普通になっているので、即座に花を選び即座に花器を選択するというやり方ですから、次々と考えそれを作ってゆくそんな早い動き方をします。これは他の大作の場合にも必要なことですが、永い年間の修練と心の蓄梢によって、よいものを即座に作り上げるという、そのような技術が必要になってきます。簡単なようでありながら意外にむずかしいのが小品花の性格ということになります。10月号テキストには手軽に活けられる「小品の小品花(高さ48センチ)毎月1回発行桑原専慶流編集発行京都市中京区六角通烏丸西入桑原専慶流家元1978年10月発行No. 184 しヽけばな

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