テキスト1978
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rl然八月のすえというと一年中でもいちばん花の少ない時期です。九月に入って五日をすぎると新しい秋の花が見られるのですが、及の最後のいちばん悪い季節が八月のすえ、九月のはじめということになります。では一月、二月は花の少ない季節ということになっていますが、このシーズンは温室花の最盛期で材料も豊宮ですし、活ける材料には不自由しないのですが、反の終わりのこのごろ(八月すえ)は、季節的な個性のある材料がほとんどありません。このテキスト写真も苦心さんたんのすえ、どうにか作りあげたという作品なのです。花屋の材料の中からどうにかあわれな材料をあつめて、また、庭の楓の葉、ハマオギ、ハス、カンゾウなどを切りそえて、どうにか10作を作りました。それでも写真になると意外に而白い作品も出来ており、やれやれといったところです。九月号もまた月末発行かと気になりますが、新しい秋の花を待っている私の気持を、ご理解下さいますように。会且の皆さまの中には市外の住宅地や農村に住居のある方が多いと思いますが、以季の花を屋敷の庭に栢えて、いけ花の材料として新鮮な花を切りとって活けるようにおすすめします。百日章、ヒマワリ、ダリア、ききょう、百合の類、その他に手軽に咲く花を栽培しておき、花の少ない季節に材料に仙うことです。中凡な花でも新鮮であるということが、どれほどの魅力であるかわかりません。都会地に住むものには全くうらやましい状況なのです。私の家は京都の中心地の町中にあって、それでも庭と称するものが、あるにはあるのですが、花を咲かせる庭はほとんどありません。それでも辿が咲き、すすきの尾花がたち、カンゾウ、キキョウ、ボタン、ツバキ、ムクゲ、バラなど、いつとはなく咲いていますが、材料に困ったとき一種でも二種でも添えて活けることの出来るのは、ほっとした息いです。R緑のウリハカエデの葉、紅色のカノコユリを瓶花に活けました。黒色の背高い花瓶に少し枝を垂れさせて活けたが、カノコユリを左方へ傾けて楓の上へのせかけ、のびやかに楽な調子に形を作りましたが、切ってすぐの楓の葉が新鮮な感じで、花器の黒と対照的に色彩の美しい花となっています。夏の花として「うるおい」「みずみずしさ」という、そんな気持の瓶花です。楓の葉のすかし方に注意しました。新秋の花を待っR 2

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