テキスト1977
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、。ヽりこの8、9ページの三作の瓶花を考えてみよう。夏より初秋への季節、九月のはじめに活けた作品である。サンキライは実も少<緑の葉だけを活けた瓶花だが、カーネーションをつけたRの瓶花は、自然の姿そのままののびやかさがあり、これにつけたカーネーションのビンクの色との配色もよく、ことにこのカーネーションは茎もしっかりしていて、横へ直線を引いた形がサンキライの曲のある形と対照的に、しっかりとした副材の形といえる。カーネーションは大輪咲きの強い形のものか、反対に大輪花であってもだらりと首を揃えて垂れる様な形のものが、面白く感じられるし特徴があって好ましい。小輪ものの平凡な形のカーネーションはまず敬遠するのがよんどうは長野県方面の特殊栽培による材料がほとんどで、直立して一本に花をずらりとならべてついている基本型の様なりんどうの花と茎が多い。やさしい野草なのに強くたくましい材料が普通の様になっているのだが、これにはりんどうのやさしさも、秋草の一種としてその情緒さえも感じられない。なるべく花つきの少ないもの、茎に曲がりのあるもの、細々とした野趣を感じるような、そんなりんどうを活けたいと思うのである。前。ヘージに菊のことを書いたが、菊も太ぶととした大輪菊よりも軽やかな小輪菊、また単弁の花の菊にこそ風雅を感じられる。私達が趣味の花を活ける場合に、そんな菊を活けたいと思っのである。すすきに白菊、さんきらいの実の少し色づいた材料に紅菊など風雅に好ましい配合といえる。c cヒマの茎は紅色に色づき葉は赤く褐色である。実も花も黄色く淡い紅色に染めあげた様に見え、花材としては変わった種類のものである。この褐色調の花材にストレチアのオレンジの花を二本そえて瓶花を作った。紅色褐色にストレチアはオレンジ色と褐色、花器は鈍い光沢のある青紫色の手付壷゜全く濃厚な配色だが、材料の配合が変わっているだけに特徴があり、また別の面白さを感じる花といえる。いけばなには淡泊な清楚な美しさ、上品さを感じるような作品もあり、また反対に強い色調の中に変化を見せようとする作品もある。飾りつける場所によっては、効果的な作品といえる。

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