テキスト1977
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c私の家にある花器の中でいちばん活けにくい花器である。宇野仁松氏作のこの陶器は形も面白く釉薬も渋い青色で落祁きのある作品だがどうも活けにくい。写真になるといよいよ調子が悪い。これは騰梅と水仙を入れたc ろうばいすいせんのだが、器と花との配合もよく、ろうばい水仙の配合も大変よい。黄ばんだ葉が枯れ残っているのも風雅な拮緒がある。実際にみていると、これほどよい瓶花はないと思うのに写真になるとどうもよくない。残念な花である。⑪枯れ残った山藤の実。手にとるとからからと音を立てて、ひとしお秋の名残りを慇じるのである。背の高い褐色の花器を選んで、白桁を添えて活ける。藤つるをぐっと曲げて花器に入れ、椿1藤の実白つばきは上方を低く花器の前方に花葉の垂れるように垂体の花形に活ける。藤豆の数少いのが索朴な慇じに見えてしみじみとした雅致を悠じる瓶花になった。高い花器には上力低く下方へ垂れる様に活ける。5⑪

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