テキスト1977
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あれほどたくましい夏の陽ざしも、今日はさわやかな秋風を感じるようになった。心にかかりながら、どうにもならない毎日を送り迎えてようやく、八・九月号を一緒にまとめて書くような結果になったことを、まずはじめにお詫びしたいと思う。このテキストの写真を撮影したのは九月のはじめであって、夏の終りの花と秋のはじめの花との、そのうつり変りの季節の材料を活けたもので、材料の種類も少く花の力も今ひとつ弱々しく、それぞれの作品の中に感じられることではあるが、四季の花の中でもいちばんよくない季節の花、といえる材料である。四季の中でも九月の花は秋草の季節となっているのだが、その他の花にはなんとなく弱々しい感じがして、ことに洋花の類にはことにはっきりとした個性のあるものが少い。このテキストに掲載の作品は二日間にわたって約三十瓶を活けて写真を作ったのだが、なるべく変化を考えながら、また、めに参考になるものをと考えつつ、とにかくまとめあげた、というのが私の気持である。来月号からは、材料もはっきりするだろうし種類も豊かになってくる。そして、私の心もしゃんとしてよい花を活ける様になると思う。とにかく、このテキストをお送りするにあたっての私の心境をのべさせていただく。秋のはじめに練習のた専渓毎月1回発行桑原専慶流No. 170・171 花材ミリオクラダストルコキキョウ編集発行京都市中京区六角通烏丸西入桑原専慶流家元1977年8月・9月合併号しヽけばな

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