テキスト1977
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ヽ') ⑪離れ屋の二階の一室、桜子(高校生)の部屋である。壁紙は淡いビンクの桜の小さい花模様。カーテンはビンク色のギンガムチェック、ガラス箱も淡いピンク色、向う側の勉強机から椅子まで淡い紅色と中々色彩的である。墜面には。ハリで買ってきた道化のマスクがかかっている。この夢の多い桜子の部屋は平素中々入れてもらえないのだが、今日は特別ということで、まず棚の上に黒色の花瓶を置き、まっ赤なバラを5本活ける。背を低く挿して、上の壁而装飾との調和を考えつつ花の配列に注意しつつ入れる。緑の葉と赤い花、黒い花器の調和がよい。外国様式の卓上花の必要が多くなってきた。日本座敷でも卓の中央に花を飾ることがあり、これの活け方について注意せねばならない様になってきた。卓上花にはそれの活け方があり、その方法をふんでやらないと美しく出来上らないし、第一に材料の選択から気をつけないと思っ様なよい花形が出来ない。外国風のいけばなというものは、花材のもつ感じよりも外面の美しさ、外面の形のよさということを重点におくのが普通で、日本のいけばなの様に花や木の情緒とか、自然趣味とか風雅とか、そんな内面的な感じを考えないで、色彩と形に璽点をおくのが普通になっている。ことにテーブルに飾ってそれを中心に椅子をならべる様な形式、また壁而に位置したいけばなでも、かけ額とか窓際のカーテンだとか、すべて室内装飾が迩うのだから、それに調和する花形を作ること、それにふさわしい花材を選ぷことも当然必要ということになってくる。ここに掲載したバラの盛花はテープル中央において四方に表のある盛花で、この場合は花器の水に挿す盛花の形式だが、また「オアシス」などを使って花形を作る技巧的な方法もあって、中々面白い造形的な花といえる。6 集"r-•“ R 周囲より見る卓上花

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