テキスト1977
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⑧老松にバラを配合して褐色のまるい壷に活ける。前にも書いたのだが「壷」という語源はまる<っぽんだ形をした容器をツボと名づけた始めだという。重量感のある老松にはどっしりとした安定感のある花器が調和よく、雄峻古雅なその形によく調和する。松とバラは、中国の古画にある好みだが、「不老長春」フロウチョウシュン、といって、時としてバラのことを長春と呼ぶ人もある。ただし長春というのは目然咲きの古雅な東洋種のバラの意で、洋種のバラにはこんな雅名は使わない。老松とバラは調和のよい配合である。以上に述べた様に中国趣味のイメージが多い配合だが、いかにも祝意の花として、形もよく強い雅致を感じられる。瓶花の取合せとして般的な配合だが、若松にバラというのも明るく新鮮で今日的な好みに調和する花といえる。松の葉とバラの紅色やオレンジ色などが色彩的にも形の上でもよく調和するということだろう。老松とバラはいかにもきまった形で、紋つき袴の様な感じの配合で今日の花として、明るさに乏しいといえるのだが、若松になるとぐっと感じが変わり、盛花として特に推煎したい取合せである。新年でなくとも普通の盛花に好ましい取合せである。の1月)に咲くというのでこの名があり、また花のろうばいは中国原産の低木で、12月から1月へかけて黄色の花を咲かせる。旧膠の騰月(12月ー現在色が淡黄色で蠍細工で作った花の様なのもこの名がつけられた原因であろうと思われる。花弁は黄色、内側は暗紫色で「暦梅」「南京梅」などの異名がある。12月初冬のころに、卵形の黄葉が残るころすでに花を咲かせて、風雅な形の中に香りの高い初冬の花である。ろうばいは12月の花と考えるのが普通だが(歳時記でも十二月の花となっている)実際は1月の花で、ちょうど迎春の1月始めごろがいちばん初花の美しい頃である。騰梅の種類の中に「そしんろうばい」という稲類がある。索真というのはその莉類の中で最も純粋な美しい花という意味で、専ら東洋種の花に用いられる用梧であって、この素真騰梅は花の中まで淡黄色の大輪花で花がことに美しい(普通のろうばいは品格が落ちる)。最近はほとんどこのソシンローバイを活けるのが普通になっており、また別の種類に蘭裟梅(ランコウバイ)というのがある。ローバイは白梅紅梅の普通のウメとは別種の柏物である。さてこの写真、黒色の陶器の鉢にローバイに渋い紅色の大輪菊をつけて盛花を作った。菊はさびのある紅色で落粋きのある大輪花であって、菊で季節慇は少しずれているのだが、渋い調子がよく調和するのでこれを取合せた。落将いた色彩感がある。ローバイにいちばんよい調和は白椿、ことに佗助椿の白花が調和よく好ましい瓶花が作れる。盛花よりも瓶花によい材料である。c ろうばい大輪菊温室咲きの一3會c,

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