テキスト1977
68/148

と思っています。(専渓)花を活けてどこに飾るのか、またこの場所に飾りたいのだがどんな花がよいのだろう。こんなに思うことがよくあります。いけばなは床の間に飾るというのが常識のようになっていたのですが、今日では床の間も新しい部屋づくりでは無駄な空間ということになって、それよりもビアノやステレオを置いたほうが今日的ということになっています。いけばなは部屋の装飾にするものですから、古い形式にとらわれる必要もありませんし、また形式のととのったお家で床の間が整然と作られているお宅は当然、そこヘ花を飾るのもよいことです。このページでは「いけばなの飾り方」について、少し例題をあげて写真をつくって見ていただくことにしました。まず最初、手近いところ私の家「桑原嘗春軒」の家屋内から始めてみましたが、大体古い家で平凡なものですが、その中から参考になりそうなところ、変化のありそうなところを選択して、その湯所に調和する花を活けて見ようと思います。家庭のいけばなはその場所に調和する花、活ける花形や花器の選択について考えねばなりません。教場で習ったいけばなを持って帰り部屋に飾るのが普通ですが、必ずしもそのままの花形で部屋に調和するとは限りませんし、それをその場所に調和させるために枝葉の配置を変える程度のことは当然必要になります。教場ではその技術を習い考え方を習うのです。この。ヘージでいろいろな例題を作って参考に資したいと思います。場所と花器の選び方、部屋の調度といけばなとの関係などに注意して下さい。また花器と台、花器に利用出来る雑器の類など、その場所に調和しているかどうか、あなたの鑑賞眼をはたらかせて批判的に見て下さい。また、次の号からこのページをつづけて見ようと思いますので、どなたのお家でも写真をとらせて欲しいR台所への上り口の土間、高山で買ってきた木彫の大きい臼(うす)が置いてある。その前に釣瓶のある井筒がそのまま、という民芸調のたたすまいである。この臼を花器に使って花を活けた。一位の木で作られた大きい臼は、農家の用具であったのだろうが直径90センチほどもある。これに陶器の鉢を入れて剣山を使い花を入れる。場所と花器に調和する様に、あじさい、白菊、蘭の葉の三種を低く花器の中に沈める様に挿す。窓、障子、壁などを見あわせて、つっ込み挿しの様に素朴な自然趣味の花を挿す。4

元のページ  ../index.html#68

このブックを見る