テキスト1977
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厚ものの桜、この種類のものを里桜(さとざくら)という。花器は褐色に黄色を交えた唐三彩(とうさんさい)の大きい鉢。高さ60センチほどのたっぷりとした陶器である。口の広さは50センチほどもあり、この花器の中へ板を十文字にワクの様にはめ込んで花材の足もとをとめた。にぎやかな満開の桜にはあしらいの花も不必要だが、一種では物たりない感じもする。ふと思いついて保存しておいた「ホウ」の樹の枯れ葉を添える。花器の褐色に対してホウの葉の淡褐色が同色、桜の華やかさに対して、渋い配合のこの調和は落若きの中に新鮮な感じの作品となった。季節初夏を迎える.. •-.. 毎月1回発行かなり背の高い花器なので,普通のバランスではもっと大ぎく活けるのが常識なのを,低くおさえて挿し桑原専慶流No. 167 さとさくらほうの枯れ葉て特徴のある花型を作っている。桜一種でもよいのだが,保存の枯れ葉などをつけたところが変わった苦想。編集発行京都市中京区六角通烏丸西入桑原専慶流家元1977年5月発行しヽけばな

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