テキスト1977
5/148

若松すいせん紅つばき新しい年を迎える年頭には、身辺を清らかにすがすがしい花を活けて、なんとなく輝かしい希望の年を迎えようとする。送り迎えする日々にはなんの変わりもないはずだけれど、一年の区切りを新しくするということは、私達の生活には必要なことでもあろう。「健康でおめでとう」という言葉はあなたも私も今年こそ、頑張りましょうという期待に心をふくらませて新しい出発をする、その合言葉なのであろうが、そんな思いをいけばなにも通わせて祝意の花を活けるのが習慣のようになっている。松はおめでたい、という。樹木の中でも長寿を保つという松の個性を辟重して新年のいけばなに松を活けることが多い。老松の却渾な姿は風雪を凌いで隆々として登立する気骨が感じられるし、若松はみずみずしい青春を象徴する様に感じられる。神秘、辟重などの花言葉のあるスイセン、春の花の代表といわれるツバキの三種を水盤にとり合わせて写真の様な盛花を作ったのだが、この盛花は日本的な落料きと気品をそなえた花の配合といえるだろう。このテキストには新年のいけばなに適した生花二種と瓶花六作を活けて、その解説をすることにした。少し時期がおくれるかもしれないが材料の閑係もあり、諒解して下さい。新春を飾る専渓毎月1回発行桑原専慶流編集発行京都市中京区六角通烏丸西入桑原専慶流家元1977年1月発行No 163 しヽけなば

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る