テキスト1977
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分が、生活用具器具から考案されたものが多く、それらの花器に対する生花の花形も花器の性格に調子をあわせて形式が定められ、意匠化されているのも中々興味が深い。ここに掲戟した五重切筒の花器も伝統の竹器だが、五段に切られた花入れの場所にそれぞれ真行草の花形を活け、大中小の大きさと、右勝手、左勝手の糾み合わせ、花材の色調の組み合わせ、一っずつの花形にも技巧的な花、自然風な雅趣のある花など、その配合と色彩の組み合わせに変化をもたせ、花器全体の五種の花がバランスよく調和を作るという、複雑にして優美な形式を考え出している。伝統の生花の変化ある組み合わせ、その技術的な作風を楽しむ、というまことに変化のある意匠的いけばな、ということが出来るのである。その生花作成の技巧と配合の意匠はすべて作者の工夫によって作られるもので、これは―つの形式の中で作者が自らの考案によって作る総合的技巧的考案の作品といえるものである。c Rこの花は3月23日に活けた瓶花である。柳の芽が少し出たばかりで丁度、季節的にもよく、ヤブツバキの亦と緑の麦の穂がよく調和して春の自然をうつした雅趣が感じられる。柳の枝線が美しい。cチューリップは白、紅、紅と白の染めわけの花三種、それにナルコユリの葉を添えて、留の長い留主型の速本型盛花である。ガラス器も季節的にすがすがしい感じがあり四月から五月へかけて適当。7 Rc @ (瓶花と盛花)柳ムギチューリッフ゜ツバキナルコユリ

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